おい、そこにいる死んだ魚のような目をした社畜諸君。聞こえているか?
ギクッ。……はい。今週も残業続きで、HPが赤ゲージ点滅してます。回復薬ください
回復薬はないが、処方箋ならある。毎日満員電車に揺られ、上司に詰められ、家に帰ったらYouTubeをなんとなく眺めて寝るだけの生活。そんな日々に乾ききっていないか?
たまにはゲームで感動して泣きたい。でも、『クリアまで100時間かかるオープンワールド』なんてやる体力は残っていない。操作を覚えるだけで土日が終わっちまうからな
わかります! チュートリアルで力尽きて、そのまま積んでるゲームが何本あることか……。大人は時間がないんですよ!
そんなお前らに贈る、最高の『時間対効果(タイパ)』を持つゲームがこれだ。フリーホラーゲームの金字塔にして、リメイク版でさらに美しくなった『Ib(イヴ)』だ
うおおおおお!Ib!イヴちゃん!ゲルテナ展!僕の青春!そして何より……
どうせギャリーの話だろ?
そうです!ギャリーさん!僕の永遠のスパダリ(スーパーダーリン)!このゲームはホラーじゃないです!純愛と絆と自己犠牲の物語なんです!あとマカロン食べたい!
落ち着け。情緒不安定か。……だが、
の言う通り、現代の忙しい大人にとって『Ib』ほど週末プレイに最適な作品はない。今日は、なぜ本作が社会人の心に刺さるのか、そのクリア時間や難易度を、俺たちが会話形式で徹底的に掘り下げるぞ
1. クリア時間:映画1本分の濃密な体験
まずは一番気になる拘束時間だ。社会人の敵、それは『終わりの見えないプレイ時間』だからな
結論から言うと、初回クリアまで約2時間〜4時間だ。どんなに探索に時間をかけても、週末の土日だけで余裕で完結する
えっ、短くないですか? 定価1,500円(※プラットフォームによる)払って、たった3時間?
そこが素人の浅はかな点だ。いいか、最近のゲームは『お使いクエスト』や『移動時間』で水増しされた100時間が多い。だがIbは違う
起動して5分で不思議な美術館に迷い込み、即座に物語が動き出す。無駄なレベル上げも、広すぎるマップ移動もない。全ての時間に意味がある。いわば、最高級のエスプレッソのような濃さだ
なるほど……。薄いコーヒーをガブガブ飲むより、濃い一杯を味わえと
そうだ。クリアした後、エンドロールを見ながら放心状態になるあの感覚……。まさに『良質な映画を見た後の余韻』そのものだ。月曜日の出社が少しだけ怖くなくなる魔法がかかるぞ
ボリュームの目安はこんな感じだな
- 初回クリア:3時間前後(じっくり探索しても4時間)
- 全エンディング回収:+3〜4時間程度(周回プレイ推奨)
- 必要なもの:ハンカチ(涙用)、または替えのパンツ(恐怖用)
替えのパンツって……。そこまで怖くないでしょ?
それは次の章でたっぷり教えてやるよ
2. 難易度:ゲーム下手でも詰まない親切設計
『ホラーゲーム=難しいアクション』だと思って敬遠している香具師もいるだろう。バイオハザードみたいに、ゾンビの頭を正確に撃ち抜くエイム力が必要なんじゃないかと
僕、アクションゲーム苦手すぎてマリオの1面でクリボーに当たるレベルですけど、大丈夫ですか?
結論、お前でもクリアできる。Ibの難易度は『探索・謎解きメイン』で、アクション要素はスパイス程度だ
特にSwitch/Steamのリメイク版は、視認性が向上している上に、謎解きの導線も整理されている。フリー版にあった理不尽な初見殺しはだいぶマイルドになった
でも、追いかけっこはあるんでしょ? 『深海の間』とか、噂で聞きましたよ
あるにはあるが、即死しても直前からリトライできるし、セーブポイントもこまめにある。何より、リメイク版には『会話システム』がある
そう、これな。行き詰まった時に仲間(ギャリー)に話しかけると、次に何をすべきかヒントをくれるんだ
えっ! 優しい! 詰んだらギャリーさんに泣きつけばいいんですね!
言い方は情けないが、その通りだ。だから『攻略サイトを見ないと進めない』というストレスはない。自力で解いた達成感を、誰でも味わえるバランスになっている
3. 恐怖度:怖いのは最初だけ、あとは「切なさ」
タイトルに『ホラー』とある以上、ここを避けては通れない。正直に言うぞ。序盤は普通に怖い。
ヒェッ……。やっぱり怖いんじゃないですか! 無理です! 夜トイレ行けなくなります!
不気味な美術館、誰もいない廊下、追いかけてくる『赤い服の女』の絵画、奇妙な咳払いのような音……。演出は一流だ
だが、スプラッターなグロさではない。あくまで『雰囲気』の恐怖だ。そして何より重要なのが、『孤独』は長く続かないということだ
孤独じゃない……?
物語の中盤、パートナーとなるオネエ口調の男性・ギャリーと合流してからは、ゲームの空気がガラリと変わる。恐怖が消えるわけではないが、質が変わるんだ
『怖い』から『この人を守りたい』へ。感情がシフトするんだよ。一人だと震えるような廊下も、二人なら進める。これを体験させるための『序盤の恐怖』なんだ
ああ……わかります。いわゆる『吊り橋効果』ですね。ギャリーさんがいてくれる安心感。あれ、もしかして美術館全体が巨大なデートスポットなのでは?
お前の脳内変換は幸せそうだな。だが、その『安心感』こそが、後半の展開をよりドラマチックにする罠でもあるんだがな……
4. なぜ「疲れた大人の心」に刺さるのか?
ここが本題だ。なぜ発売から10年以上経っても、このゲームが愛され続けるのか。それは登場人物たちの『優しさ』と『選択の重み』だ
① 理想の大人像「ギャリー」
出ました! ギャリーさん! 彼の何がそんなにいいんですか? ただのオネエキャラじゃないんですか?
口を慎め。彼は『理想の大人』の具現化だ。自分も極限状態で怖いはずなのに、迷子の子供(イヴ)に対して、常に目線を合わせ、怖がらせないように振る舞う
『大丈夫よ』『怪我はない?』……この言葉の重みよ。社会人になって、責任やプレッシャーに押しつぶされそうな時、彼の無償の優しさが心に染みるんだ
ううっ……。上司に怒鳴られた後にプレイしたら、ギャリーさんの優しさにガチ泣きしました。『あ、こんなカッコイイ大人に、俺はなりたかったな』って……
自分の命すら危うい状況で、他者を優先できる精神性。それがプレイヤーの心を浄化するんだ
② 言葉のいらない絆
主人公のイヴは9歳の少女だ。難しい漢字が読めないし、あまり喋らない。だから、ギャリーが代わりに看板を読んでくれたり、重い物を動かしてくれたりする
その凸凹コンビ感がいいんですよね! 守られるばかりじゃなくて、イヴちゃんも小さな体でギャリーさんを助けようとするし!
そう。余計な説明台詞がないからこそ、プレイヤー自身の想像力で補完され、没入感が高まる。『この二人で脱出したい』。その想いが強ければ強いほど、エンディングの選択肢で指が震えることになる
5. まとめ:今週末、美術館に行こう
Nintendo SwitchかSteamがあれば、今すぐダウンロードできる。価格もランチ2回分(約1,500円)程度だ。飲み会を一回断ればお釣りが来る
リメイク版ではグラフィックが一新されているが、ドット絵の良さを残したまま綺麗になっている。BGMの音質も向上しているから、ぜひ音を出してプレイしてほしい
あの……攻略サイトは見てもいいですか? 僕、絶対にバッドエンドはいやなんです! ギャリーさんとハッピーエンドになりたいんです!
絶対にダメだ。
同意する。最初の一周目だけは、自分の選択で進めろ。攻略情報なしで悩み、迷い、選ぶこと。それが『Ib』という体験そのものだ
たとえそれがバッドエンドだったとしても、それがお前の物語だ。……まあ、ギャリーが死んだら、お前は泣きながらリセットすることになるだろうがな
ひえぇぇ! プレッシャーかけないでくださいよ! でもわかりました。僕の愛でギャリーさんを救ってみせます!
金曜日の夜にダウンロードして、土曜の夜にクリアする。そして日曜日は余韻に浸りながら、PixivやTwitterでファンアートを巡る。これこそが、大人の最高の週末の過ごし方だ
さあ、ゲルテナの世界へ飛び込め。ハンカチの用意は忘れるなよ
解散!
うおおお! 待っててねギャリーさん! 今すぐ『忘れられた肖像』の謎を解き明かしてきます!
……おい、それはバッドエンドの名前だぞ。本当に大丈夫かこいつ
乙!


