パルワールドのパクリ疑惑とは
2024年1月に発売されたパルワールド、めちゃくちゃ話題になりましたよね
外見の類似性が指摘されていましたが、法的にはそれだけでは著作権侵害にはなりません
え、そうなんですか。あんなに似てるのに
著作権法ではアイデアそのものは保護されない。具体的な表現が保護対象です
パルワールドは2024年1月19日に発売され、わずか1か月あまりで2500万人のプレイヤー、692億円の販売額を達成した大ヒットゲームです。しかし、登場するパルと呼ばれる生物のデザインがポケモンに酷似していると指摘され、発売当初から物議を醸していました。
デザインが似ているって指摘は確かに多かったですね
似てるっていうか、そのまんまじゃないですか
主観的な印象論では法的判断はできません。著作権侵害を立証するには、依拠性と類似性の両方を証明する必要があります
依拠性って何ですか
元の作品を参考にして作ったという証拠です。偶然似てしまった場合は侵害になりません
でも、あれを偶然とは言えないでしょ
それを法廷で証明するのが難しいんです
任天堂が動いた!2024年9月に訴訟提起
そして2024年9月19日、ついに任天堂とポケモン社が動きました
やっぱり訴えられたんですね。当然ですよ
ただし、訴訟の理由は著作権侵害ではなく特許権侵害です
え、特許。デザインじゃなくて
はい。ゲームシステムに関する特許権の侵害として提訴されました
任天堂とポケモン社は2024年9月18日付で東京地方裁判所に訴訟を提起しました。訴訟の対象となったのは以下の3件の特許です。
- 特許第7545191号(モンスター捕獲のメカニクス)
- 特許第7493117号(ライド切り替えシステム)
- 特許第7528390号(捕獲や戦闘に関わる操作要素)
損害賠償請求額は約1000万円だそうですね
え、1000万円って少なくないですか。あんなに売れたのに
金額の問題ではありません。本命はゲーム販売の差し止めです
つまり、パルワールドを販売できなくするのが目的ってことですか
その可能性が高いです。1000万円という金額は、むしろ本気度を示しています
任天堂の周到な準備
注目すべきは、任天堂の準備の速さです
どういうことですか
パルワールドの発売が1月19日で、任天堂が最初の審査請求を開始したのが2月6日。わずか18日後です
めっちゃ速いじゃないですか
これらの特許は2021年末に出願された親特許を分割出願したもので、2024年の5月から8月にかけて登録されています
パルワールド発売後に特許を取ったってことですか
正確には、既存の特許から分割出願して新たに登録しました。スーパー早期審査制度を使って、通常1年かかる審査を約1か月に短縮しています
それってずるくないですか。後から特許取って訴えるって
合法です。分割出願は法律で認められた手続きです
でも、なんか釈然としませんね
ポケットペアの反論
訴えられたポケットペア側はどう対応したんですか
徹底抗戦の構えを見せています
ポケットペアは訴訟提起直後に声明を発表し、原告が主張するいずれの特許も侵害していないと確信していると表明しました。そして、任天堂の特許には先行技術が存在するため無効だと反論しています。
先行技術って何ですか
特許出願前に同じ技術が既に公開されていたという証拠です。先行技術が存在すれば、特許は新規性がないとして無効になります
具体的にはどんな例を挙げたんですか
MODって改造ゲームですよね。それでいいんですか
先行技術として認められるには合法である必要はありません。公知になっていれば十分です
つまり、違法なMODでも先行技術になるってことですか
そうです。実際に公開されていたという事実が重要なんです
任天堂の驚きの主張
それに対して任天堂はどう反論したんですか
MODは先行技術に当たらないと主張しています
え、なんでですか
動作元のゲームのように単独で成立しないためだそうです
それって無理がありません
法曹界でも驚きの声が上がっています。この主張が認められれば、MOD文化全体に影響を与える可能性があります
でも、MODって確かに元のゲームがないと動かないですよね
それは技術的な事実ですが、先行技術の要件とは別問題です。MODであっても技術が公開されていれば新規性は失われます
裁判の現状と今後の見通し
で、結局裁判はどうなってるんですか
2026年1月現在も係争中です。決着はまだついていません
長いですね
知財訴訟は長期化するのが普通です。何年もかかることは珍しくありません
ポケットペアの仕様変更
パルワールド側は何か対応したんですか
2024年11月と2025年5月に仕様変更を行っています
具体的な変更内容は以下の通りです。
- パルスフィアを投げてパルを召喚する機能を削除し、プレイヤーのそばに直接召喚する仕様に変更
- グライダーパルによる滑空を、パル自身ではなくアイテムのグライダーを使用して行う方式に変更
あれ、これって負けを認めたってことじゃないですか
確かに、特許を侵害していないと確信してるのに仕様変更するのは矛盾してますよね
予防的措置だと説明していますが、裁判所の心証には影響する可能性があります
心証って何ですか
裁判官の印象のことです。過去のコロプラ訴訟でも同じように裁判中に仕様変更を行い、それが不利に働いたと言われています
じゃあ、ポケットペアは不利になったってことですか
可能性はあります。ただ、仕様変更には損害賠償額を減らすメリットもあります
でも、請求額1000万円なんでしょ。あんまり意味なくないですか
その通り。今回は金額の問題ではないので、コロプラとは状況が違います
任天堂も苦戦の兆し
任天堂は有利なんですか
必ずしもそうとは言えません。訴訟提起後、任天堂の関連特許出願が拒絶理由通知を受けたことが明らかになっています
拒絶理由通知って何ですか
特許として認められない可能性があるという通知です。ただし、最終決定ではありません
じゃあ、まだ分からないってことですね
はい。さらに、任天堂は訴訟中に特許の文言を修正するという異例の対応をしています
それってまずいんですか
特許の請求項に奇妙な表現が含まれるようになり、文章が極めて冗長で複雑になったと報じられています。苦戦の表れとも取れます
任天堂が負ける可能性もあるってことですか
可能性はあります。特に先行技術の存在が認められれば、任天堂の特許自体が無効になる可能性があります
デザインの類似性はどうなった
結局、デザインが似てる問題はどうなったんですか
そうですよ。一番の問題はそこじゃないですか
デザインの類似性については、今回の訴訟では争点になっていません
え、なんでですか
著作権侵害を立証するのが困難だからです。キャラクターデザインの依拠性と類似性を証明するには高いハードルがあります
でも、誰が見ても似てるじゃないですか
似ている
だから特許で攻めたってことですか
そういうことです。著作権で勝つのは難しいと判断したのでしょう
ゲーム業界への影響
この裁判、ゲーム業界にどんな影響があるんですか
判決次第では、ゲーム開発の自由度が大きく制限される可能性があります
どういうことですか
任天堂の主張が認められれば、モンスター捕獲やライド切り替えといった一般的なゲームシステムに特許が認められることになります
それって、他のゲームも作れなくなるってことですか
極端に言えばそうです。インディーゲーム開発者が萎縮する可能性があります
逆にポケットペアが勝ったら
ゲームシステムの特許が無効になり、開発の自由度は保たれます。ただし、デザインの類似について道義的な問題は残ります
パルワールドは今後どうなる
パルワールド自体は今どうなってるんですか
運営は継続されています。訴訟による中断や変更はありません
普通にプレイできるんですね
はい。そして2026年に正式版をリリースする予定です
訴訟中なのに正式版出すんですか
訴訟と開発は別です。ポケットペアは特許を侵害していないと確信しているため、開発を続けると表明しています
ソニー・アニプレックスとの提携
そういえば、パルワールドってアニメ化の話もありましたよね
2024年7月に、ポケットペア、ソニーミュージック、アニプレックスの3社でパルワールドエンタテインメントという会社を設立しました
アニプレックスってアニメの会社ですよね
はい。グッズ制作やアニメ化、スマホゲーム化が視野に入っています
それって、任天堂が訴えた理由の一つなんじゃないですか
その可能性は指摘されています。単なるインディーゲームではなく、ポケモンのような大規模IPに成長する動きを見せたことが、任天堂の堪忍袋の緒を切ったのかもしれません
なるほど。ポケモンセンターみたいな店とか作られたら困りますもんね
結局、パクリなのか
で、結局パルワールドってパクリなんですか
パクリでしょ。どう見ても
法的な判断と道義的な判断は別です
どういうことですか
デザインの類似について、多くの人がポケモンに似ていると感じるのは事実です。しかし、それが法的な著作権侵害に当たるかは別問題です
でも、似せたのは確信犯でしょ
開発者の意図は不明です。ただし、ゲーム業界には暗黙の了解がありました
暗黙の了解
ゲームシステムは似てもいいが、キャラクターデザインは似せないというルールです。パルワールドはそれを踏み越えたと見る人が多いです
なるほど。法的には問題なくても、業界のマナーとしては問題があるってことですか
そういうことです。ベネッセは過去にポケモンに似たデザインを出して謝罪しましたが、ポケットペアは悪びれていません
それが気に食わないってことですね
まとめ
じゃあ、現状をまとめると
任天堂とポケットペアの訴訟は現在も係争中で、決着はついていません
主なポイントは以下の通りです。
- 訴訟の争点はデザインではなく、ゲームシステムの特許権侵害
- 任天堂は分割出願とスーパー早期審査で素早く特許網を構築
- ポケットペアは先行技術の存在を主張して特許の無効を訴えている
- 任天堂はMODを先行技術と認めないという驚きの主張をしている
- ポケットペアは裁判中に仕様変更を行った
- 任天堂の関連特許出願が拒絶理由通知を受けている
- パルワールドの運営は継続中で、2026年に正式版リリース予定
で、どっちが勝つんですか
現時点では判断できません。任天堂が苦戦しているという報道もありますが、最終的な判決は裁判所が下します
ゲーム業界への影響も気になりますね
はい。この裁判の結果は、今後のゲーム開発に大きな影響を与える可能性があります
早く決着してほしいですね
とはいえ、何年もかかるんでしょ
知財訴訟は長期化するのが普通です。2026年中に決着がつけばいい方でしょう
えー、まだまだ続くんですね
ところで緑さん、さっきから詳しく解説してますけど
何ですか
緑さん、パルワールドやったことあるんですか
え
あ
やってないんですか
いや、その、訴訟問題があるから様子見してて
それって、結局どっちが勝つか分からないから買ってないってことですよね
そういうわけでは
めっちゃ詳しく解説してたのに、エアプだったんですか
知識としては持ってるから
知識だけって。実際にプレイしないと分からないこともあるでしょ
それはそうですが
じゃあ一緒に買いましょうよ。今なら安いですよ
いや、訴訟の結果が出てから
結果出るの何年後だよ
そんなに待ってたら、その頃には次の炎上ゲーム出てますよ
次の炎上ゲームって
まあ、緑さんは慎重派ですからね
慎重っていうか、ビビりなだけじゃないですか
ビビってないです。合理的な判断です
はいはい。とりあえず、パルワールドの訴訟問題はまだまだ続きそうってことで
続報を待ちましょう
私は引き続き、法的な観点から注視していきます
プレイはしないくせに
うるさい



